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働き方改革で出生率UP!?残業多いから子供作れないなんて雑すぎる件

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政府が推し進める働き方改革。目的のひとつに出生率UPがあるみたいですが、これ雑すぎませんか?

どうもイトカクです。 

今日はサラリーマンにとっては大きく関係する働き方改革について書きます。

 

働き方改革として残業時間に上限、女性や高齢者の就労支援などがあります。残業時間の軽減については確かに、日本の国民性は勤勉で残業大国なので個人的にも残業が少なくなればうれしいとは思います。また過労死などもよくニュースで取り上げられますが、そのニュースを見る度「人は何のために働いているのか」と考えさせられます。

最近では「世界でもっとも貧しい大統領」でも話題になったウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカさんが、人はより多くを消費するために働いていて、消費する事が幸せと思い込んでいる。世界の全人口が先進国と同じくらいの消費をするほどこの地球上には資源はなく、これからは過度な消費を捨て、有限の資源をいかに人類で共有するかを各国のリーダーが議論すべきと提言しました。

 

過度な消費のための過度な残業、労働によってそれこそ死ぬまで働かなければならない環境は大反対です。ただ、日本国内の企業が全て残業ゼロになったら本当に幸せが訪れるのか違和感を覚えます。

 

働き方改革は何のためにやるのか

まず、そもそもこの働き方改革は何のためにやるのか。

まさか政府は国民の幸福度向上なんて狙っていない。ずばり経済成長。やはりお金がある国が一番強い。武力が発言力を増すことになると考えているのは北朝鮮くらいで、やはりGDPが多く、経済的に豊かな国ほど発言力が大きいです。

しかし、今の日本経済は減衰し中国にも抜かれました。案の定隣国からはいいようにされっぱなしです。

 

ではその経済成長はどのようにすれば復活するのか。その対策の一つが働き方改革です。

 

政府の思惑を超幼稚に解説すると、

「例えば、男性がこれまで10時間で100枚のお皿を洗っていたとします。そこで、働き方改革で労働時間を短縮しつつ生産性も維持(向上)させた結果、今までの時間半分の5時間で100枚のお皿を洗う事ができました。さらに女性の就労支援が功を奏し、女性も男性と同じく5時間で100枚のお皿を洗う事ができました。これで男女合わせると10時間で200枚のお皿を洗う事ができ、さらにさらに空いた時間でプライベートも充実し出生率も上がる。」

 

なるほど、この絵に描いた餅はうまそうです。

 

そもそもこの解釈が間違っているかもしれませんが、もしこの通りだとすると、大きく3つの突っ込みどころがあります。

 

残業しないで生産性も維持(向上)

これ、もう少し具体的に方法を提示しないと難しいと思います。人はタイムリミットがあった方が効率よく仕事をするようになるといった一部のデータで都合良く語られていますが、本当にみんなそうでしょうか?

個人の努力や業務の見直しによって、生産性を落とさず労働時間を短縮できるのは一部の人たちであって、ほとんどの人がそんな意識改革のみでは改善できないです。また、企業側の制度改善などのリードがないまま進めると仕事を家に持ち帰るだけの結果になりそうす。

もう少し、具体的にどのような制度や対策をして生産性を維持しながら時間短縮できるかを明示してほしい。

 

例えば、誰でもできるような単純作業をこういったシステムやツール、テクノロジーで効率化が計れたなどという事例紹介や、明らかに仕事をしないような守られすぎている社員をもっと柔軟に解雇できるような制度変更や、企業側に恩恵のある規制緩和、働く人への経済的支援を海外への無駄な経済支援から捻出するなど。

 

当たり前ですが、従業員は残業したくてしているのではなく、せざるを得ない何かしらの事情があることを大前提に国や企業のリーダー層が改善策を練ってほしいと思います。

 

女性はみんな働きたいわけじゃない

女性や高齢者の就労支援は働きたくても働けない人を支援するものですが、そもそもなぜ働きたいのかを見失っています。

女性や高齢者がなぜ働きたいのか。それは働きたいのではなく。働かざるを得ない環境にあるという事が根本的な課題です。

 

女性であれば、夫の収入では足りないから働かざるを得ない。高齢者は年金だけでは生活できないから働かざるを得ないわけです。

 

夫の収入に加え、毎月50万円国から支給されたとしても主婦はみんな、それでも働きたいでしょうかね。少なくとも僕の周りでは出来るだけ子供との時間を持ちたいから働きたくないというママさんが多いです。

103万円の壁撤廃など、より働かざるを得ない環境にしているように思えます。

 

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残業時間が減ると出生率も上がる?

これ、本当に違和感です。

数十年前まで日本のサラリーマンの休日は日曜日のみで、有給休暇などは名ばかりで実際取得する人はほとんどいませんでした。盆正月、祝日以外は休まず毎日深夜まで働いていた団塊の世代が今の経済大国を作り上げてくれました。

さらに唯一の休日も接待ゴルフや休日返上出勤など、家庭をかえりみないスタンスが一家の大黒柱である条件かのようにまかり通っていました。

 

まさに夫婦の時間なんてありません。

 

でも出生率、今より低かったでしたっけ?

 

確かに離婚の原因に生活時間のズレがよくあげられます。これは納得ですが、逆に一緒にいる時間多いから子供ができる確率も上がるのは少し違う気がしますね。

 

こんな記事がありました。

2006年から政府委員会に入り、長時間労働をなくそうと働き方改善を強く提言してきた少子化ジャーナリスト 白河桃子さんと、ワーク・ライフバランス社長 小室淑恵さんの対談です。

 

当時は今より男社会だった中で、よくこれまで根気づよく発言されてきたなと感心しますし、記事内容のほとんどはなるほど納得するものばかりです。

ただ、以下「長時間労働がなくなると、どんなことが起きますか?」という質問に対してのお二人の発言は少し疑問を感じます。

 

【小室】まず、国の一番の課題である少子化が改善されます。女性にとって、パートナーの男性や自分自身の長時間労働が出産のハードルになっているというのは、当たり前すぎる事実ですよね。でも官僚も政治家もほとんど男性だから、「労働時間を削減すると少子化が解決する」という肝心なロジックを理解していなかった。私たちがコンサルティングしたリクルートスタッフィングでは、深夜労働が86%削減され、企業内出産数が1.8倍になった。そうした事実を提示していきました。

【白河】第1子が6歳になるまでの間に、夫が家事や育児にどれだけ参加するかで、第2子の出生率が変わるというデータは昔からあるんですが、経済政策にかかわる人の目には映っていなかったのかもしれません。夫の週末の家事・育児時間がゼロ時間だった家庭で、その後11年間、第2子が生まれているのは約1割。一方、夫が週末に6時間以上家事・育児に関わる家庭では、8割が第2子に恵まれている。

引用:プレジデント ウーマン 2016年10月号「変わるか!?残業大国ニッポン」より

 

みなさんこれ、どう思います? 

 

調査実験によるデータは慎重に扱わないとその結論を見誤ります。

 

例えば、昨今の若者のビール離れ。

ビールの出荷量が20年前と大幅に減ったので若者がビールから離れてしまったと言いますが、20年前の当時20才と今の20才 の人口は違うので、出荷量が減るのは当然だし、20年前のアルコールラインナップより、今はカクテル、ワインなど多彩。

消費者の絶対数が減った上に選択肢が増えているのでビール単体の出荷量(売り上げ)は減りますね。

つまりビールの売り上げが減ったから、若者がビールから離れたという結論は少し違ってきます。

 

前途おふたりのコメントでは

「深夜労働が86%削減され、企業内出産数が1.8倍になった。」

「夫の週末の家事・育児時間がゼロ時間だった家庭で、その後11年間、第2子が生まれているのは約1割。一方、夫が週末に6時間以上家事・育児に関わる家庭では、8割が第2子に恵まれている。」

とあります。

 

深夜労働が減ったから出生率が上がったのではなく、もしかしたら違う要因が影響している可能性もありますし、偶然だったかもしれません。

同時期に出産適齢期の社員が重なっていたとか、出産しない社員が偶然まとめて転職して、出産する社員が残って出産数が増えたように見えたのかもしれません。

※いや、もしかしたらですよ。

 

また、後者のコメントでも家事育児をする夫のほうが第2子の出産率が高いとのことですが、家事育児をしない男性が残業が減って家事育児をするようになるかは分かりません。 

確かに家事育児を積極的にする家庭は夫婦仲もよく、母親の子育てに対しての不安も少ないことから出産数も多いのはイメージできます。

しかし、だから残業をなくせば子供が増える!というのは少し雑で逆説には多少無理があるのではと思うのです。

 

今の少子化の理由はさまざまです。

経済的理由、子育て環境、晩婚化、価値観。

 

なんとかしなきゃと模索しながらいろいろ取り組むことは大賛成ですが、この働き方改革はまだまだ色々修正が必要なのかもしれませんね。

 

本題とはズレますが、こうしたホワイト企業が増え続けた結果、日本は本当に幸せになるのかは非常に悩ましいと感じます。

 

先ほどの生産性を維持しながら時間短縮が成功すればまだしも、単に時間が短くなって生産性もその分落ちた企業もたくさんあると思います。うちの会社みたいに。

あまりそういった失敗例は表に出てこないですが、実際は結構多いのではないでしょうか。

 

もし生産性が上がらなかったら男女それぞれ5時間で50枚のお皿しか洗えません。ただ、今まで通りそれぞれ10時間ずつ働けば計200枚のお皿が洗えます。

これにより国内の労働生産物は増えますが、プライベートの時間は捻出できるどころか逆に減りますので、出生率は改善されません。結果未来の子供(労働力)が減り続ければ、今の労働者がより労働し生産物を作り続けなければならない。

 

効率はさておき、団塊の世代が時間を犠牲に働いたからこそ今の筋肉質な日本経済があります。効率化がなされても流石に12時間働くのと8時間働いた生産物の量は1ヶ月、1年とみれば大きく違ってきます。

 

偉そうに色々好き勝手書いてますが、僕も解決方法があるわけではなく。今後ブータンのような幸福先進国を目指すのであれば別ですが、近隣国の抑止も必要ですのでもう少しブラック企業にも暗躍してもらう必要があるかもなと思う今日この頃です。

 

現場からは以上です。